オリジナルドラマ「在りし日の兄妹」

うん、びったりね
暖かい
寒がりの六太には綿を多めに入れといたのよ
ありがとう お姉ちゃん
茂も花子もちょうどいいみたいね
これ、私がもらってもいいの
うん、とても可愛いわよ、花子
すげー暖かいよ姉ちゃん
おれ、禰豆子、母ちゃんは?
お母さんなら川に行ったよ
そうか、あっ禰豆子、明日俺町に炭を売りに行ってくる
今回もいい炭ができたよ
良かったねお兄ちゃん
お兄ちゃん、見て見て、お姉ちゃんが作ってくれたんだよ
お、とても似合ってるぞ六太
お姉ちゃん、お母さんにも見せて来ていい?
いいわよ、転ばないように気をつけてね
俺も見せてくれ 私も
いいのか、禰豆子
お前の羽織、二着とも下の子達の半纏に使ってさ
いいのいいの、私にはもう小さくなってたし
それに私寒いのは平気だから
お兄ちゃんが心配しなくてもいいの
禰豆子…禰豆子、お前にはいつも辛抱をさせてばかりだな

鬼滅の刃、在りし日の兄妹

ダメダメダメ、ダメに決まってるだろか
誰も竹雄お兄ちゃんに聞いてないよ
兄ちゃんお願い 私も茂と一緒に町に連れてて、ねえお兄ちゃん
うん
どうしたの花子まで
花子、茂、町までとても遠いのよ
知ってるもん
あのな、お前たちがついていっても、兄ちゃんの迷惑になるだけだ
兄ちゃんには絶対迷惑かけないから、兄ちゃん頼むよ
私も約束する、お兄ちゃんに迷惑かけないって、だからお願い
(おいいい加減にしろって)
俺が町に出るとき、一緒に来たいってせがで来るのは、今日は初めてじゃないけど
けど、今日のこの必死さはなんだ
何があるなきっと
いくらお願いしたっても
わかった、兄ちゃんと一緒に行こう
えええええ
やった ありがとう兄ちゃん
いいの、炭治郎
そうだよ、足手纏いになるだけだよ
心配ないって、俺長男だから、二人の面倒はちゃんと見る
兄ちゃん…
炭治郎がそう言うなら、花子、茂、お兄ちゃんの言うこと、ちゃんと聞くのよ
うん わかってるって
禰豆子、竹雄、留守は頼んだぞ
どうしたんだろ、山道を下り出しったら、花子も茂も急に黙りこくって
まただ、また二人して目配せし合ってる
あ、そうか、俺に何か話したいことがあるんだ
なるほど、それであれだけ一緒に来たいってせがんだのか
花子、茂、もしかしたら兄ちゃんに何か話したいことあるんじゃないのか
ええ 兄ちゃん!
兄ちゃんには何でも言っていいんだぞ
兄ちゃん、その、炭が売れたら、お願いがあるんだ
お願い?
炭が売れたお金でね、お姉ちゃんに羽織を買ってあげられないかな
花子…
昨日、外に出た時にね、茂がまごまごしてるから、お兄ちゃんとお姉ちゃんの話聞こえちゃったの
それで茂と相談して、お兄ちゃんに頼んでみよって
姉ちゃん、冬に着るものないだろ、そんなのかわいそうだよ
俺、兄ちゃんの手伝いをするからさ
私も、だから、お姉ちゃんに羽織を買ってあげて、お願い
へー
お、お兄ちゃん?
あ、ごめんごめん、やっぱり兄弟なんだなと思ってさ
実は俺も同じことを考えてたんだ
今日炭が売れたお金で禰豆子に羽織を買ってあげよってね
お兄ちゃんも? さすが兄ちゃん!
母ちゃんから野菜とそろそろ冬に備えて干物もって頼まれたけど
干物は急ぐものでもないし、まだ原木は残ってるから
明日からすぐに炭作りを始めれば、一週間ぐらいでまた売りに行ける
それなら今日、禰豆子に羽織を買っても大丈夫だ
お姉ちゃん、喜んでくれるよね
もちろんだよ、喜ぶぞ禰豆子
売れ売れ、全部売るよ
よし、今日は三人で頑張って、炭を売りきろうな
わお

人がいっぱい
これだけいたら、炭を買ってくれる人もいるよね
兄ちゃん、どこで売るの
まずお得意様のところからだ、行くぞ
ここ?
うん、ここの長屋の人たちには、兄ちゃんいつも世話になってるんだ
あら、炭治郎ちゃんじゃない?
炭治郎ちゃん、え、もう炭ができたのかい?
はい、炭を売りに来ました
ちょっとみんな、炭治郎が来たわよ
おい炭治郎か
炭治郎ちゃん早かったわね
ああ炭治郎良かったよ来てくれて
おちよさん、お待ちかねの炭治郎ちゃんだよ
ちゃんと聞こえてるよ、炭治郎ちゃん、待ってたわよ
お兄ちゃん、人気者なんだね
うわ、すげーな兄ちゃん
最近めっきり寒くなってきやがったな
源さん人一倍寒がりだからね
炭治郎相変わらず元気そうだな
お陰様で、清さんはまだ歯が痛むの
あまだちょっとな
それならこれを試してみて
雪に落ちた葉っぱ、これを塩で揉んで、痛い歯に挟むと効くと思うよ
それと春さんにはこれ、薬草で作った塗り薬
母ちゃんも使ってるけど、あかぎれによく効くって
覚えててくれたのかい、ありがとうね炭治郎ちゃん
本当気が利く子だよ、遠いところから売りに来てくれるだけでありがたいというのに
あら、この子達炭治郎ちゃんの兄弟?
そうです
あらまあ、かわいい妹さんね
兄ちゃんの手伝いか、偉いぞ坊主
ねえ炭治郎ちゃん、棚を取り付けるのを手伝ってくれない
はい、もちろん
茂、花子、炭の方を頼んだ
うん、任せて
どれどれ、お、今日の炭も良さそうだな
はい、兄ちゃんの作った炭ですから
この笊いっぱいに炭をお願いね
はい
いつも悪いね、家の宿六ったら何もしやしないからさ
おれ、人の匂いがする
おちよさん、ここ、空き家じゃなくなったんですね
うん?ああ、先日、若夫婦と男の子の三人家族が越してきたんだよ
重く締めた咳き、心を暗くさせた響き、子供の心を悲しくさせる嫌な音だ
お菊さん…女将さんの名前だけどね
お菊さん体の弱い人らしくてね、何っての胸を患ってるらしいよ
胸を…
まだ若いのにね
長い間寝込んでいる人の匂いがする

結構売れたね兄ちゃん
二つ目のかごもあと半分で空っぽになるよ、いひひ
長屋の人たちに感謝しないとな
それに花子も茂もよく頑張ってくれたし
花子お兄ちゃんの役に立ったの
俺も?
ああ、二人共、帰って禰豆子や竹雄に自慢できるぞ
いひひひ、次はどこに行くの?
ついたよ
え?
いつもお米や味噌をあげてもらってる御米屋さんだ
大きな店
こんにちは、炭治郎です
ありがとうございます、旦那さん、炭を全部買っていただいて
本当に良かったのかい、米や味噌との交換でなくて
この間分けていただいたのがまだ残ってますから
それに今日は、お金が必要だったんで
お二人が一緒に来た妹さんと弟さんだね
はい、花子と茂って言います
二人共遠くから兄さんの手伝いとは偉いね、これはご褒美だよ
ありがとうございます
はい、炭治郎ちゃんにも
ありがとうございます
兄ちゃん、金平糖だよ
きれい
帰りにでも食べ、疲れが取れるよ
いいんですか、こんな高価なものを…
また炭ができたら、よろしく頼むよ
はい!
やったね兄ちゃん、炭が全部売れたよ
ああ
お兄ちゃん、これでお姉ちゃんに羽織を買えるよね
お店に行ってみないとわからないけど、多分大丈夫だと思うぞ
その時だった、角から急に飛び出してきた小さな影が俺にぶつかった
あっ痛い痛い痛い
大丈夫?
大八車を止めて、男の子にかがみ込んだ俺は
この匂いは…
男の子からお菊さんの家で嗅いたのと同じ匂いがした
ね君、もしかしてお菊さんの子供?
は?母ちゃんのこと知ってるの
目を丸くして俺の顔を見つめるその子は、茂と同い年ぐらいだろうか
顔はどことなく六太と似ている
こら、待ちやがれ小僧!よくもうちの品物を盗みやがったな
実さん?!
のっ、炭ちゃん
男の子を追いかけてきた若い男の人は、よく俺の炭を買ってくれる八百屋の実さんだ
この子、実さんのとこの野菜をとったの
ああ、人参を盗みやがったんだ
確かに、男の子の手には人参がしっかりと握られている
炭ちゃん、その小僧を俺に寄越してくれ
その曲がった少年、俺が叩き直してやる
えー!
怖がって俺の背中に隠れる男の子の震えが伝わってくる
こんなに怯えてる子を突きだすなんて、俺にはできない
実さん、申し訳無いけどこの子、俺に任せてもらえないかな
あ?その小僧、炭ちゃんの知り合いなのか
違うけど、もうこんな悪さはしないように、俺から言って聞かせる
だからこの通りお願いだよ、実さん!
おいおいやめてくれよ、炭ちゃんに頭を下げられたんじゃこっちが困っちまうぜ、参ったな
はー、わかった、わかったよ、炭ちゃんに任せるよ
ありがとう実さん
おい小僧、炭ちゃんに免じて見逃してやるけどな、今度やったらしょくちないぞ
君、勇君っていうんだ
うん
どうして人参盗んだの
そんなに好きなの、人参が?
俺はあんまり好きじゃないけどな、母ちゃんに笑って欲しくて
母ちゃん、黃昏と朝からずっと咳ばっかして苦しかって笑わなくなったんだ
おいら、母ちゃんの苦しそうな顔を見てるの辛くて辛くて
外に出たら、長屋のお婆ちゃんたちが母ちゃんみたいな病には人参を飲ませるといいって話してたから
人参を…ああ、そっか、人参って多分、高麗人参のことだ
おいら、母ちゃんに人参飲ませたら笑顔になってくれるかなって思って、だから
つい盗んじゃったのか
うん
でも勇君、人の物を盗むのは良くないな
盗んだものをお母さんにあげても喜ばないし、逆に悲しませることになるよ
勇君だってお母さんの悲しむ顔を見たくないだろ
見たくない、おいらもうしない、母ちゃんを悲しませるようなことはしないよ
うん、それがいい、それにね勇君、お婆さんたちが言ってた人参って
八百屋さんで売ってる人参じゃなくて、薬屋さんで売ってるものなんだよ
薬なの、高いの
うん、高い、かなり高い
そうなんだ、おいら、母ちゃんに何もしてあげられないよ
勇君は、帰りが遅くなると母ちゃんが心配するからと家へ帰って行った
お兄ちゃん、助けてくれてありがとう
帰り際に大きな声で礼を言って

わかるな、勇君の気持ち
辛いよね、お父さんやお母さんが苦しい顔してたら
うちの父ちゃんも体が弱くて寝込んでたけど、いつも笑顏だったからな、勇君みたいに辛くなかった
うん、いつも笑顔だったね
勇君の母ちゃんもまだ笑えるようになるといいんだけどな
せめて咳だけでも収まってくれたらいいんだろうけど
そっか、父ちゃんがいつも笑ってたのって、勇君の母ちゃんみたいに咳で苦しまなかったからか
いや、父さんも激しく咳込む時があったよ
そうなの、全然知らなかった
俺も、庭で遊ぶ俺たちをニコニコと楽しそうに見てた父ちゃんとしか覚えてないよ
そう、父を思うとき、一番に浮かぶのは
柔らかな笑顔と川のせせらぎのように落ち着いた声だ
穏やかに微笑む父さんからは
微かに甘い匂いがしていたのを覚えている
甘い匂い?
甘い匂い!
お兄ちゃん見て、古着屋さんの看板だよ
お兄ちゃん? どうしたの
ごめん、花子、茂

さあいらっしゃいいらっしゃい、お安くしとくよ
実さん!
炭ちゃん、どうした
生姜、ある?

どうだった、茂?
勇君、母さんと一緒に寝てたみたいだから、棚にこっそり置いてきた
そっか、ありがとうな茂
お兄ちゃん、薬屋さんに蜂蜜があってよかったね
ああ
笑顔の父さんから嗅いた、微かな甘い匂い
あれは蜂蜜の匂いだ
父さんは咳込むと、白湯に磨った生姜と蜂蜜を入れてよく飲んでいたのを
俺は思い出したんだ
蜂蜜と生姜で勇君のお母さんの咳が少しでも収まるといいね
まだ笑顏が戻るといいな
花子、茂、ごめんな
禰豆子に羽織を買えなくなって、本当ごめん
もういいよお兄ちゃん、そう何度も謝らなくだってさ
そうだよ、蜂蜜を買ったらもう野菜を買う分しかお金が残らなかったから仕様がないよ
禰豆子には今度買ってあげような
兄ちゃん、炭焼きに励むからさ
俺も手伝うよ
私も
さ、俺達も帰ろう

よいしょ、よいしょ
後ろから押してくれるから助かるよ、二人共疲れたろ
うん、全然
こんなのは、平気平気
へ、ちょっと休んでいこう
へい兄ちゃん、水
そうだ、金平糖、旦那さんの言う通り、食べると疲れが取れるぞ
そうだね、金平糖
きれいで食べるのがもったいないな
姉ちゃん、いらなかったら俺がもらうよ
ダメ、食べるもん
甘い!
美味しいね、兄ちゃん!
うん!

竹雄、炊事の薪はもうそのくらいで十分じゃない?
花子と茂の行水用にだよ
山道の往復で、汚れて帰って来るんだから、たっぷり湯を使わせてやらねえとな
いひっ☆
なんだよその笑いは
なんでもな~い
いひひひっ (≧w≦)ゞ
姉ちゃん!
お兄ちゃんたち帰ってきたよ
帰ってきたか
お兄ちゃんお姉ちゃんただいま~
ただいま
あ、お帰り
花子、茂、お帰りなさい
お帰りなさい、お兄ちゃん
ただいま、禰豆子
炭、全部売れたみたいだね
ああ、それなんだけど
なあに、お兄ちゃん
いや、その、ごめんな禰豆子
あ、なに、なんで謝るの
ううう、なんでもない囧
なんでもないって、気になるよ、お兄ちゃん
それより、これ、禰豆子にお土産
金平糖、禰豆子好きだろ
お兄ちゃんも?
お兄ちゃんも?
たった今、花子と茂からももらったよ
お姉ちゃんにお土産って
あいつら
あの時、俺と同じで一粒だけ食べて、あとは食べずにいたのか
羽織を買えなかった禰豆子へのお土産にしようとして
やっぱり兄妹だな!
お兄ちゃん?

二人共、兄ちゃんに迷惑をかけなかっただろうな
かけてないよ
褒められたもん
花子、茂
お兄ちゃん?
どうしたの、抱きしめたりして
嬉しいんだよ
止せよ兄ちゃん
擦りなんてくすぐったいよ
何言ってんだ、二人共小さい頃は俺がすりすりすると結構喜んでたぞ
ほら
止せって兄ちゃん、俺たちもう大きいんだぞ
何言ってんだ、まだまだ子供のくせに
はあ、竹雄お兄ちゃん焼いてる
羨ましいんだ
はあ?バ、バカ言え
竹雄焼いてるのか、じゃ竹雄にもだ
うあ
ほら、すりすり!
やめろよ兄ちゃん、恥ずかしいだろ
兄ちゃん!
終わり
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