虻瀬犬

出しちまえばいいよ
それでも残った肉欲が
俺 たちの 芯なのだろ う
余震は続くよ
火山も雹も 台風も 泳ぐ
ひゅるる
ひゅ るる
放蕩の幽霊のようだ
銀バエが隆椎を撫で た
残油で死んだみたいな色だ
蒙古の斑点が消えないな
ジンジロ毛が絡み合っている
大地は種を探している
「100㎞道なりです」と...

聖域よ　聖域よ　此処から此の場は貴方の聖域よ
健やかに　殷賑に　厳かな契りを結びましょう
導きよ　満ち引きよ　彼らを　憎しみ　悵恨から救え
我等が無知たる其の咆哮で　瞬く暇もなくあらんことを
精液よ　濫觴よ　此処では貴方はマルヤム生神者
安らかに　穎敏に　奄奄な契りを結びましょう
おお、神よ　狼よ　...

夜標の光線に霧が懸かり
滔々と歩いていく　君はどこへ行く
語るは無しか　果てなど無いさ
酒を呑むか　眠りにさあ　お出で
水を遣らずとも枯らぬ茎を断つ
錆びぬ鉄を打つ
夢か現か
潮騒が怒ったか
嵐が近づく
水を飲めよ　少しは楽さ
黒松の木々の蔭で身体を休めたら
髑髏をさ　迎えに歩こう
鈍い声を上げて　...

夜を飾るネオンの帯
河になるクラクション
聞き取れないアナウンス
疲れ切った肩と足
うだる外とあまりに違う
強すぎるクーラーに晒され
古いバスの、狭いシートで
縮こまって、夜は更けて
おまけに昼食った屋台飯で
腹の調子もあまり良くないが
なぜか気分悪くなくて
楽しくて仕方がなくて
何が僕を待ってるの...

吐いていて怪獣 嘔吐 out と
汚い子には触れちゃいけませんよ
それくらい俺にも解ります
お宅のおいたで眼が痛い
夜は怪獣になりたいだって
怪獣ならば殺せるからって
壊獣にもなれないくせに
俺は夜歩いていた
*
参上 相対 平行線
狼男の晩餐会
本能 崩壊 精神性
存亡価値なんて元から無い
フラニ...

風に犯されて風に孕まされ風に産まされて風に剝がされて
風に殺され風を殺してく　キミを守るため　意義を守るため
犬を噛み殺す犬を噛み殺せ　爆ぜた心嚢　拉げた髄膜を
真夏の犬共、叫べば勝ちユエ、臓骨筋仏、飽く迄軋ませろ
熱をもった避雷針が　夏至のコンクリート叩いていら
真赤な所為か知らんぷりか　こええの...

アイツには負けたくない
ヤになるくらいに死んだ
真夏の犬猫畜生気取りが風に犯されて何処かで初期衝動して笑った
俺もおんなじなのか
いがみ合う二人痛み合う仲に絡み合う影に初期衝動
語り合う前に掻き鳴らせ独り舵を切れそこが初期衝動
泣き虫な君に掻きむしる肌に春を知るこそが初期衝動
背伸びする俺と背伸びす...